肺がんは日本で特に死亡率が高いがんで、部位別では男性が1位、女性では2位だという統計があります。
しかし、初期症状がわかりにくい肺がんは、症状が出ていても見逃してしまうことが多く、進行してから発見されるケースが多くあるのです。
今回は、進行してしまうと死亡率が高くなる危険な肺がんについて詳しく解説していきます。
肺(腺)がんの治療法は大きく分けて6つ
肺がんの多くは「肺腺がん」と診断されることが多くありますが、肺(線)がんの治療をするとき、切除術や摘出手術、薬物療法などさまざまな治療方法を思い浮かぶでしょう。
しかし、治療方法には一般的に知れている治療法と、意外にも知られていない治療法があるのです。
ここでは、肺(線)がんに対する6つの治療法について、詳しく解説していきます。
肺(腺)がんの治療法①手術(外科治療)
まずは外科治療として、代表的な手術による肺(線)がんの治療を解説します。
外科治療では根治を目的とした主に3つの手術方法がありますが、適応できる患者には条件があるのです。
- 肺葉切除術
- 縮小手術
- 片側肺全摘手術
これらの手術は、主にステージⅠやⅡのがん患者に対し適応とされるケースが多くありますので、それぞれの特徴について覚えておきましょう。
肺葉切除術
肺葉とは、肺を構成している単位を指しており、肺葉切除術ではがんが発生している肺葉を根元から切除し、根本的な治癒を目指して手術がおこなわれます。
従来は、開腹手術が主流となっていた肺葉切除術ですが、近年では医療技術の発達により胸腔鏡下により肺葉切除術が可能となってきており、患者への負担を軽減できる期待が持てるようになっているのです。
肺葉切除術の対象となるがん患者は、初期のステージであることが前提となっています。
また、体力的にも問題のない肺がん患者でなければ、手術が適用されないケースがあるので、抗がん剤などにより体力が落ちてしまう前に手術を検討することが大切です。
縮小手術
縮小手術は、肺葉よりも小さい肺を切除する手術です。
この手術のメリットは肺葉をより多く残せることで、呼吸機能の温存が可能となります。
縮小手術が適用される場合、2つの手術方法から病変に応じた手術がおこなわれるのです。
- 部分切除(楔状切除):肺表面に近い場所に病原があるときに、肺葉より遥かに小さな肺を切り取る
- 区域切除:肺の区域を理解したうえで、肺葉より小さな単位で肺を切り取る
ただし、縮小手術の対象外となるケースもあり、目的に応じて縮小手術の適用について判断されます。
- 姑息的:肺機能や全身状態が不良で肺葉切除が不可能な肺がん患者に適用
- 積極的:条件を満たす早期発見の肺がん患者に適用
縮小手術は、肺葉切除に対して半分ほどの切除手術が区域切除、さらに細かい部分的な切除が部分切除(楔状切除)であると覚えておいてください。
片側肺全摘手術
心臓に近い部分に肺がんが確認されたときには、片側肺全摘手術が行われます。
ただし、片側肺全摘手術は十分な体力を備えている人が手術適用です。
片側の肺をすべて摘出してしまうと、呼吸機能が半滅してしまい、心臓にも影響を及ぼしてしまい、術後の日常生活にも大きな支障を及ぼしてしまう恐れがあります。
そのため片肺の全摘出は、医師が判断する条件を満たしている人だけに限られるのです。
片側肺全摘手術は肺葉切除と比較すると、術後の合併症リスクが2~3倍まで上がってしまうことが考えられます。
肺(腺)がんの治療法②放射線治療
放射線治療は、X線を照射する「外部照射法」が用いられています。
従来はステージⅢの患者に放射線治療をおこなっていましたが、近年はステージⅠ・Ⅱの方で外科治療が受けられない患者にも適用されている治療法です。
ステージⅠのがん患者には、がん細胞を多方向から照射する「体幹部定位放射線治療」が効果的とされています。
また、小細胞肺がんや、転移してしまったがんを和らげるためにもこの治療法が用いられます。
放射線治療には、副作用や合併症などがあり不安を持つ人も多いことでしょう。
しかし、どのような症状が出るかは個人差があり、大きく分けて急性障害と晩発障害に分けられます。
急性障害は、放射線治療後に発熱や食欲の低下、脱毛、皮膚炎など放射線の照射部位に関連した症状が2~3ヶ月以内にあらわれることが特徴です。
一方、晩発障害では長期間の潜伏を経てから皮膚乾燥や腸炎を発症し、まれに放射線肺臓炎や骨壊死、発がんなどがあります。
肺(腺)がんの治療法③薬物療法
薬物療法は全身にあるがん細胞に効果的な治療法です。
実際に、薬物療法を行うかは、患者の臓器機能の状態や進行具合によって、医師と患者の話し合いにより決定します。
薬物療法には、以下のような方法が用いられているので、参考にしておいてください。
- 細胞障害性抗がん薬
- 分子標的薬
- 免疫チェックポイント阻害薬
病状の進行度合いによっては、手術や放射線治療と組み合わせて用いられるケースもあり、人それぞれ治療法が異なることには注意が必要です。
細胞障害性抗がん薬
細胞障害性抗がん薬(抗がん剤)を用いた化学療法の1つで、がん細胞を攻撃することで細胞の増殖を抑えながら殺傷する治療法です。
しかし、体内の細胞が正常であっても攻撃してしまうデメリットもあり、副作用によりさまざまな症状があらわれます。
がんのステージや進行度合い、それまでの治療歴により服用する抗がん剤は異なり、複数の抗がん剤を合わせて使用するケースもみられます。
分子標的薬
化学療法として知られるもう1つの分子標的薬は、がん細胞の増殖に関係する分子や、がん細胞にみられる分子をターゲットにして作用する薬です。
がん細胞への直接的な効果だけでなく、がんに栄養を送るための新しい血管が作られないようにする効果が期待できる分子標的薬もあります。
細胞障害性抗がん剤とは違い、正常な細胞には影響が少ないと言われていますが、薬の種類によっては特徴のある副作用が出る場合があるので、体調の変化には注意が必要です。
免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイント阻害薬とは、がん細胞により抑止されていた本来持っている免疫機能を活性化させる効果があります。
- 抗PD-1抗体:ニボルマブ(オプジーボ®)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)など
- 抗CTLA-4抗体:イピリムマブ(ヤーボイ®)など
- 抗PD-L1抗体:アテゾリズマブ(テセントリク®)、デュルバルマブ(イミフィンジ®)など
これらの免疫チェックポイント阻害薬は、作用する部位によって使用する薬が異なります。
なお、免疫チェックポイント阻害薬は、従来の薬物療法とは薬の仕組みが違うため、抗がん剤や分子標的薬とは違った副作用を引き起こしていしまう恐れがあります。
免疫チェックポイント阻害薬を服用した場合、免疫機能が過度に働いてしまい、思ってもいなかった副作用があらわれることがあるのです。
細胞障害性抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬では、それぞれにあらわれる副作用が異なります。
また、副作用の種類や出現のしかたは人によってさまざまです。
- 細胞障害性抗がん剤:アレルギー反応や吐き気、食欲低下や倦怠感、皮膚の異常や手足のしびれ、脱毛など
- 分子標的薬:発熱や皮膚障害、肺障害や高血圧など
- 免疫チェックポイント阻害薬:発熱や悪寒、かゆみや発疹、呼吸困難など
脱毛や発熱だけではなく、薬の種類によっては肺障害や骨髄抑制、呼吸困難など命にかかわるような症状もあらわれる可能性があります。
薬物療法による治療中だけでなく、治療後にも起こる可能性があることから、身体に違和感を感じたときは早急に医師に相談することが大切です。
肺(腺)がんの治療法④免疫療法
免疫療法は、体内の免疫細胞を採血で体外に取り出し、培養をおこなって体内に戻す治療法です。
培養をおこなうことで、免疫細胞の絶対数を数十倍から数百倍に倍増させることができます。
また、活性化させた細胞を体内に戻し、攻撃力を高めた細胞でがん細胞と戦うことができ効果もあるのです。
さらには、身体の負担が少ないため、初期治療だけでなく再発がんのがん治療まで適用できるようになっています。
免疫療法は、患者本人の細胞を使用して治療をおこないます。
そのため、副作用が引き起こされてしまっても数日でおさまる副作用になります。他の治療法などと比較すると、あまり副作用が起こらないので身体に優しい治療法だと言えるでしょう。
静脈注射で培養した細胞を投与したときにおこる可能性がある副作用には、痛みや腫れ、注射部位がヒリヒリする皮膚反応などがあげられます。
ただし、まれに重度のアレルギー反応が起こる可能性があり、必ずしも免疫療法なら合併症や副作用が起きないとは言えません。
とはいえ、薬物療法などは耐性や副作用のため繰り返しの治療が困難ですが、免疫療法なら多くの患者にとって副作用が少ないため、繰り返し免疫療法がおこなえるメリットがあるのです。
肺(腺)がんの治療法⑤緩和ケア・支持療法
肺がんの治療では患者の負担が非常に大きく、苦痛も増えていくため、肉体だけでなく精神的な支えが必要なため、緩和ケアや支持療法が欠かせません。
緩和ケアは、患者本人やその家族に対し、身体的・精神的苦痛など社会生活上の不安を緩和させるケアをおこなっています。
支持療法では、肺がん治療によって考えられる副作用や合併症などの予防や、症状が出た場合に少しでも患者の負担を軽減させるケアをおこなうことを目的としているのです。
たとえば、抗がん剤の治療による副作用で合併症が出たときに、外見の変化に対するケアをおこなうことも支持療法1つです。
肺(腺)がんの治療法⑥リハビリテーション
肺がんに対して外科治療をおこなうと、患者の約4割が息切れを感じるようになります。
このような手術後の合併症予防や、退院のあと早く社会復帰ができるように呼吸リハビリテーションや生活指導がおこなわれています。
リハビリテーションでは、生活質の向上のために機能障害の改善など、患者に合わせたリハビリテーションが必要とされているのです。
肺(腺)がんはステージによって治療法が異なる
肺がんは、進行ステージによって治療法が異なり進行行ステージによっては、受けることのできない治療法があります。
一般的に、治療法は医師と患者の相談をもとに決められますが、進行ステージにより治療方針の決定と治療予後の見通しの2つが非常に重要となります。
治療方針は、ステージに対して有効的な治療法を検討されており、ステージ1~3なら外科的治療(手術)、ステージ3なら放射線化学療法があります。しかし、ステージ4になると転移が考えられるため薬物療法となるのです。
治療予後の見通しでは、がん治療に対する生存率をもとに治療方法が検討されています。
ステージが高くなると5年生存率は下がるため、肺がんの外科的治療(手術)ではステージ1A1なら90.6%、ステージ2Aなら60.2%、ステージ3Cなら37.5%というデータがあり、生存率によって治療法が異なる場合があるのです。
肺(腺)がんは転移した臓器によって治療法が異なる
肺を中心にがん細胞が身体中に拡散され、他の臓器に転移してしまう恐れがあります。
また、肺から転移した臓器のがん治療は、転移した部位によって治療法が異なり、さまざまな治療法があるのです。
そこで骨・脳への転移や、がん性胸膜炎を発症した場合の治療法について詳しく紹介していきます。
骨に転移した場合の治療法
骨への転移には、脊椎や肋骨、大腿骨や骨盤、上腕骨などがあげられます。
特に骨盤や大腿骨にがん細胞が転移すると骨折や麻痺が起こるため、日常生活に大きな支障を及ぼしてしまうことから、以下にあげる3つの方法で治療がおこなわれるのです。
- 薬物療法
- 放射線治療
- 外科治療
薬物療法や放射線治療では、骨に転移する細胞の広がりを抑えたり、痛みを抑えながら腫瘍を小さくする治療をおこない、腫瘍や細胞に直接アプローチをする治療となっています。
また、外科治療では骨折しそうな部分や骨折していると診断されたときに痛みを緩和させ、日常生活への支障を軽減させるために手術がおこなわれるのです。
脳に転移した場合の治療法
がん細胞は脳に転移しやすく、脳に転移してしまうと抗がん剤などの薬物療法では効果が少ないと言われています。
したがって、脳転移の治療の中心となるのは、放射線治療です。
放射線治療には、脳全体に放射線治療をおこなう方法と、病変に限定した照射をおこなう治療があります。
がん性胸膜炎が発症した場合の治療法
がん胸膜炎は、肺の表面にある胸膜にがん細胞が広がってしまい、炎症を起こしてしまう症状です。
症状などに応じて抗がん剤治療や、胸膜癒着術などの治療方法が適用されます。
抗がん剤治療を用いての治療は、現在発症しているがんに対して、効果のある抗がん剤を使用しての薬物療法です。
また呼吸困難などの症状があらわれた場合は、胸腔ドレナージをおこない、胸の中に溜まった水を排出します。
肺(腺)がんが再発した場合、主に薬物療法で治療する
再発してしまった肺がんは、がんの症状を取り払う緩和ケアと薬物療法を中心に治療をおこないます。
薬物療法は、多くの場合で再発する前に受けた治療方法や反応などを考察したうえで、薬が処方されています。
近年は新たに用いられるようになった分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が選べるようになり、治療の範囲が広がってきていると言えるでしょう。
肺(腺)がんの治療費や支援制度
肺がんの治療は高額な医療費が必要となることが多く、医療費の自己負担を軽減できる制度を利用しましょう。
なかでも国民すべてが加入すべき健康保険では「高額療養費制度」があります。
その他にも、民間で加入している生命保険や医療保険、所得によっては医療費助成制度などが適用される場合もあるので、必ず確認しておいてください。
ここでは、医療費について詳しく解説します。
保険適用と適用外の医療費がある
肺がん治療で先進医療を希望する場合、健康保険は適用外となってしまうため、大きな自己負担が発生することが考えられます。
先進医療は、治療の選択肢が増えることがメリットとしてあげられますが、健康保険が適用されないため、一般的な肺がん治療と比較すると、高額な医療費となりがちです。
また、入院中の差額ベッド代や食代も健康保険の適用外となり、医療費と合わせた実質的な医療費の自己負担は非常に大きな金額となってしまうのです。
高額療養費制度が利用できる
肺がんの治療費は、健康保険が適用される医療費なら「高額療養費制度」が適用されます。
1ヶ月の自己負担額が上回った場合に、超えた金額が払い戻しされる制度ですが、70歳以上と69歳以下で適用区分や限度額が異なるので、ご自身の医療費自己限度額を事前に確認しておくことがおすすめです。
肺がん治療は、さまざまな治療法をおこなう場合もあるため、先進医療でなくても高額になってしまうケースが多々あります。
そんなときは、加入している健康保険で「高額療養費制度」を利用することで、医療費の自己負担額を軽減できることを、必ず覚えておいてください。
肺(腺)がんの種類は主に4つに分類される
肺がんは主に、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つに分けられます。
さらに非小細胞がんは「腺がん」「扁平上皮がん」「大細胞がん」と3つに分類され、非小細種類と胞肺がんの分類3つと「小細胞肺がん」の4種類に分けられているのです。
肺がん患者の半数程度が非細胞肺がんの「線がん」と言われています。
一方、小細胞がんは肺がん患者の全体において10%と言われており、他の組織型の肺がんと比べると、がん細胞は小さいですが、がんの成長が早く転移しやすい特徴があるのです。
ここでは、肺(線)がんを含む肺がんの種類や特徴について、詳しく解説します。
腺(線)がんは肺がん全体の約50%を占める
腺がんは、肺がん全体の約50%を占めています。
初期のステージでは、気管支の先に小さながん細胞が発生し、円形の細胞が徐々に集まりながらがん細胞が増えていくことが腺がんの特徴です。
手術によって高い確率で治る腫瘍もありますが、早期に転移してしまう腫瘍もあります。
また、喫煙経験のない女性が腺がんになってしまう報告もされています。
扁平上皮がんは喫煙との関連が強い
腺がんの次に多い扁平上皮がんは全体の約25%を占めており、一番大きな発症原因は喫煙だと言われています。
人よりも多い喫煙が目立つ、いわゆるヘビースモーカーの男性に多いとされています。
以前は喫煙者の代表的ながんは「肺がん」でしたが、現在は喫煙している人が減少したことにより、肺がんの発生率は減少傾向にあるのです。
大細胞がんは他のいずれにも分類されない
大細胞がんは、肺がん患者全体の約5%を占めています。
腺がんや扁平上皮がんのように、独特な性質や特徴が認められておらず、他のいずれにも分類されていません。
大細胞がんは、末梢に発生することが多いと言われています。
また、薬物療法や放射線治療、いずれも効果が出にくい傾向にあるのです。
小細胞がんは進行速度が速く転移しやすい
小細胞がんは、肺がん患者全体の約15%を占めています。
ほとんどの肺がん患者が喫煙者であり、男性患者が多い傾向です。
小細胞がんの特徴は、進行速度が速く、他の臓器などにも広がっていくため治療が困難となってしまう特徴があります。
さらに、進行速度も驚くほど早く、最も早く進行したケースでは、5週間で死に至ってしまった事例も報告されています。
肺腺がんと肺がんの違いとは?
肺線がんと肺がんは同じように考えられがちですが、実はそれぞれ異なる特徴を持っています。
肺腺がんは、非小細胞がんの中でも最も患者数が多く、肺の小気管や気泡に発生する傾向があり、肺がん患者の約40%が肺線がんと診断されているのです。
一方、肺がんは、肺の中にある細胞が異常に増えてしまうことで発生するがんであり、肺にある腺組織に根源を持っている肺がんのひとつです。
肺(腺)がん患者さんの割合は増加傾向にある
画像引用:国立がん研究センター 東病院
日本の喫煙者は減少傾向にあるにもかかわらず、肺がん患者の推移は上がっていっています。
現在は、男性が1位、女性は2位となるほど、肺がん患者は多いという報告があるのです。
肺がんを発症してしまう原因は、喫煙者とされていましたが、実は喫煙以外にも肺がんを引き起こしてしまう要因がいくつもあると言われています。
肺(腺)がんの原因は男女関係なくタバコの影響が大きい
肺がんを引き起こしてしまう原因として、1番多いのはやはり喫煙だと言えます。
しかし喫煙以外にも、肺がんを発症させてしまう要因があることをご存知でしょうか。
以下では、肺がんの原因となってしまう例を紹介していきます。
肺(腺)がんの原因①喫煙と受動喫煙
肺がんの種類によっても影響度合いは変化しますが、喫煙している人の方が肺がんの発生率は高いと言えます。
しかし、禁煙することによって、肺がんのリスクを低下させることは可能です。
禁煙を開始してから20年経過していれば、非喫煙者と肺がんが発生するリスクはほとんど同じになります。
また、喫煙者に加えて受動喫煙も肺がんのリスクを2~3割高めてしまうので、周囲の喫煙者との関係も肺がんの発生率に影響すると考えられるでしょう。
肺(腺)がんの原因②アスベスト
アスベストは繊維状の鉱物で、その昔は建築材料として幅広く活用されていました。
しかし現在では、アスベストを吸引してしまうことによって健康被害が出てしまうことが問題になっています。
吸引してしまうと肺に入り込んでしまい、体内に留まったアスベストは、肺の組織などに物理的な刺激を与えてしまうのです。
そのため、アスベストは肺がんを含む様々な健康被害を招いてしまう原因となってしまいます。
肺(腺)がんの原因③大気汚染
海外の調査では、都市部の大気汚染が原因となり、肺がんのリスクが約1.5倍にまで増えてしまうという報告があります。
大気汚染の中でも、有名なPM2.5の物質が肺の奥深くまで辿り着き、持っている遺伝子が活性化してしまうことにより、肺腺がんになりやすくなってしまうことが研究で解明されました。
PM2.5などは避けることは非常に困難ですが、肺がんのリスクになりえることは覚えておいてください。
肺(腺)がんの原因④遺伝と体質
肺がんの遺伝性については、現在の医療では不明点が多く、肺がんを患った家族がいる人は、さまざまな要因が重なり合って、肺がんにかかりやすくなってしまうこともあるとされています。
加えて、遺伝子についた傷を修復することが困難な体質を持つ人、がんになってしまう傾向にあるという研究結果もあります。
体質だけでなく、家族内のがん患者と同じ生活をしていることが原因となり、肺がんになるリスクが高くなっていると考えているのです。
肺(腺)がんの原因⑤その他の要因
女性ホルモンとの関係
初潮が早い・閉経が遅いなど、長期間女性ホルモンにさらされていることや、エストロゲン補充療法を受けたことがある女性は、肺がんが発生するリスクが高くなることが報告されています。
女性ホルモンが腺がんの細胞を発生させているなど、女性ホルモンとがんの関係性が考えられているのです。
なお、女性の中でも、非喫煙者の方が大きな影響があると言われています。
食事との関係
塩分が高い食事や、とても熱い飲食物をとることによって、がんを引き起こしてしまうことが、研究で明らかにされています。
また、野菜や果物を全く口にしないことなども、がんのリスクを高めてしまっています。
野菜や果物には、肺がんを下げてくれる効果があると言われているので、適切な量を摂取するようにしてください。
肺(腺)がんの症状は特徴的なものがない
肺がんの主な症状は、咳、痰や血が混じっている痰、胸の痛みなどがありますが、これらの症状は風邪や気管支炎の症状にも当てはまります。
肺がんの初期症状には特徴的な症状はなく、がんが進行していても、症状があらわれない場合もあるのです。
そのため、症状から早期発見をすることが困難となっていることが現状です。
肺(腺)がんの進行速度は肺がんの種類やステージによって変わる
1ヶ月の進行スピードは、がんの種類や患者の体調面によって変わります。
たとえば、非小細胞がんよりも小細胞肺がんの方が進行スピードは速く、がんのステージが上がることに進行スピードも速くなります。
肺がん患者の免疫力や体調なども進行スピードに影響しているので、免疫力が低下していると体内のがん細胞が増えていく可能性が高くなるのです。
1ヶ月から12ヶ月の進行速度変化の目安
肺(腺)がんの生存率や余命は患者さんの状態によって変わる
肺がんの生存率は、患者本人の健康状態や年齢などによっても異なります。
また、がんの種類やステージによって全く変わってくるのです。
肺がんの生存率は比較的低いと言われていますが、早期発見で治療を行った患者は、生存率が上がる可能性があるという報告があります。
ここでは、肺がんの生存率や余命について詳しく解説するので、肺がんの予防や治療に役立ててください。
非小細胞肺がん・小細胞肺がん別の5年生存率の違い
肺がんの5年生存率は、がんの種類によって異なります。
- 非小細胞肺がん:47%
- 小細胞肺がん:11%
また、肺がん患者の寿命は、「治療を行ったか」「どんな治療を受けたか」などによっても異なるのです。
肺がん患者それぞれの体力や、その他の病気を持っているかなども影響されています。
病期(ステージ)や年齢などによる生存率の違い
肺がんの生存率は、男性よりも女性の方が高くなっています。
女性の方が高い原因は、喫煙者の多さ、薬の効き目の違い、副作用の違いなど、さまざまな影響が考えられているのです。
ステージが進むことにより、生存率は下がっていく傾向にあり、初期のステージではがん細胞を全て切除できる可能性があります。
しかし、ステージが進んでしまっていると、手術ではがんを取り除くことが困難なため、生存率が下がっていく理由があるのです。
【まとめ】肺(腺)がんは早期発見・早期治療が重要!
肺がんは発生率も高く、死亡に繋がる可能性が高いとされているがんです。
初期症状もあまりなく、中々発見することが難しいため、がんは進んでいく一方になってしまいます。
肺がんは早期発見と早期治療が重要です。
健康診断など定期的な検査を行い、早期発見に繋がるように心がけておいてください。
片側の肺を全摘出してしまうと、呼吸機能や心臓に影響を及ぼします。
片側肺全摘手術では、全体の約5%程度の患者に、肺胞ろうや不整脈などの症状があらわれます。
ごくまれに、合併症によって死亡してしまうこともあるので、異変に感じたときは早急に担当医へ相談することが大切です。
合併症の症状などは、ある程度予想されているものですが、人によって症状が異なるため完全に予測することは不可能だと考えられています。